サントリー美術館の英一蝶展、良かったです!

昨日の記事の続きです。山種美術館で「福田平八郎×琳派」を観たあと向かったのはサントリー美術館。会期が始まって少し経ってしまったけど「英一蝶(はなぶさいっちょう)」展に来ました。

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いろんな展覧会で彼の作品はチラホラ観ているけど、回顧展を観るのは初めて。どういう人物なのかも殆ど知りませんでした。

江戸時代、元禄年間(1688〜1704)前後に活躍した絵師。
晩年に「英一蝶」と名乗ったけど、最初は「多賀朝湖(ちょうこ)」と名乗っていたみたい。10代で狩野派に入門してアカデミックな教育を受けたんだって。

この人、5代将軍綱吉のときに三宅島に島流しにあって、47歳〜58歳まで三宅島に居たそうな。その頃は「島一蝶」と名乗っていて、綱吉の死後、許されて江戸に戻ってきて、そこから「英一蝶」と名乗ったそうな。なるほどーw

島流しの理由は生類憐れみの令を揶揄したことと言われたけど、実際は若い頃から吉原に出入りして大名や豪商人たちと交流があったことで幕府に目をつけられたとか?

三宅島での約11年間が絵師として脂の乗った時代だったそうな。
アカデミックな狩野派から飛び出して、風俗画を描き、多彩な絵を描いたんだって。

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画像は無いんだけど、奈良の木辻遊郭を描いた作品があって、これがさすが奈良!って感じでね。遊郭の暖簾をくぐろうとしている鹿が描かれていて笑いましたw
さすが奈良の鹿はひと味違うね!w

こちら↓の作品は後期展示(10/16〜)に登場予定。その頃にまた観に行くつもりです。

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当時、島流しは無期。一蝶は江戸の友人たちが送ってくれる絵具や絹などの画材で、江戸からの注文も受けて描いていたみたい。三宅島や近隣の島の住人からの注文にも応じて絵を描いてたんだって。御蔵島の稲根神社に奉納された絵馬なども展示されていました。島外初公開だって!

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綱吉が死んで生類憐れみの令が廃止されて、大規模な恩赦がおこなわれて江戸に戻ってきたときは夢のような気持ちだったろうなあ。

今回の展覧会の準備中に見つかった初公開作品が「釈迦十六善神図」だそうな。

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個人蔵で、今まで出版物にも載っておらず、存在も知られていなかった作品。これぞお釈迦様のお導きか?
これは 10/14 までの展示なので、興味のある方はお早めに!!
めちゃめちゃ保存状態が良くて、すごくすごく細かくて綺麗。うっとり見入ってしまったよ〜〜。

写真撮影 OK だったのはこちらの舞楽図。

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衣装の模様、描き込み、本当にすごかったなー。

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単眼鏡でガッツリ楽しみました。

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この屏風図の裏には見事な唐獅子が描かれていたのだ。そっちは撮影 NG でございました。

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一蝶は 73 歳で生涯を終えたようです。
多彩な画風で様々な題材を描いた一蝶さん。ガッツリ作品を楽しめました。会期終了まで多分また何回か行きます(笑)


*****
没後 300 年記念 英一蝶
―風流才子、浮き世を写す―
サントリー美術館
2024年9月18日〜11月10日
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2024_4/index.html

この記事へのコメント

  • くまら

    え?この絵って修復した物じゃないの??
    一見の価値ありですな
    2024年10月09日 00:18
  • 英ちゃん

    英一蝶は、知らんけど私と同じ名前だよ(^_^;)読みが違うけど
    丸くなってる三毛猫がいいなぁ(^▽^;)
    2024年10月09日 00:28
  • サンフランシスコ人

    「めちゃめちゃ保存状態が良くて、すごくすごく細かくて綺麗。うっとり見入ってしまったよ〜〜....」

    サントリーグループはお金を出して、米国の美術館の日本美術キュレーター(curator)達にサントリー美術館を訪問してもらうことは可能ですか?
    2024年10月09日 01:50
  • HOTCOOL

    はじめて聞く作家さんですが、島流しで苦労した関係か、凄い繊細な作品が多いですね。
    2024年10月09日 04:11
  • あおたけ

    島流しw
    波乱万丈な人生の英一蝶だけど
    三宅島での生活がまた
    絵師としての幅を広げたのかも
    しれないですね(・∀・)
    金屏風の舞楽図
    楽しげに踊り舞う様子が繊細に描かれていて
    見ごたえありますね(*'▽')
    丸まったミケちゃんもいい作品だなぁ☆
    2024年10月09日 04:42
  • ChatBleu

    英一蝶にしても多賀朝湖にしても、名前がカッコイイ!
    絵もすごいですねぇ。
    絵柄にしても色彩にしても、よくあるような、でも、すごく個性的な気がします。
    あと、綱吉の時代ってのがびっくり。そんなに古いものに見えない!
    2024年10月09日 06:05
  • Rchoose19

    白黒の縞模様の頭巾がね、すごく不思議な感じがしたのです。
    この前の美術の番組で、この部分が映って、
    目が釘付けになってしまいました!
    舞楽図って言うんですね!
    この、お釈迦様の絵はすごいね~~~(#^^#)
    そうそう、奈良の絵の遊郭の鹿さん・・・
    鹿を被ったyamatonosuke さんではないかなぁ???
    2024年10月09日 07:25
  • 夏炉冬扇

    島流しですか。興味わきますね。
    御蔵島の稲根神社に奉納された絵馬、見たいもの。
    2024年10月09日 07:41
  • marimo

    >遊郭の暖簾をくぐろうとしている鹿が描かれていて
    神の使いは、遊郭もチェックしに行ってたのかな~(≧艸≦)
    これはちょっと見てみたいなぁ♡
    2024年10月09日 08:40
  • kontenten

    はなぶさいっちょう・・・(珍しく)知っています(^^)
    先日のNHK日曜日美術館で視ました(^o^)
    島流しの原因が、表向きは生類憐れみの令でしたが・・・実は
    そもそも太鼓持ちで、幕府のお偉いさんに酒を飲ませ散在させたり
    お偉いさんの彼女に似た絵を描いたり・・・そちらみたいです(゚ω゚)
    (後期展示の赤い服を着たお姉さんが、どなたかの彼女似???)
    家内は一村推しですが、ボクは一蝶も観に行きたいです^^;Aアセアセ
    2024年10月09日 08:41
  • Boss365

    こんにちは。
    英一蝶(はなぶさいっちょう)さん、読めない文字で初見・初耳ですが、カッケイ名前です。宝塚風?。また、島流でしたが「注文にも応じて絵を描いてたんだって」の文字あり、意外に絵を描くには誘惑少なく?健康的で最適な環境と推測です。長生き出来た要因ありかな?ところで、風俗画から「釈迦十六善神図」まで、幅広い作品「多彩な画風」で描いてますね!?(=^・ェ・^=)
    2024年10月09日 09:02
  • ma2ma2

    最近撮影OKなのが多くなりましたね!
    これから出かけて来ます。
    2024年10月09日 09:55
  • リュカ

    ◆ くまらさん
    修復っては書かれてなかった気がするのですよ〜
    すごい綺麗ですよね。



    ◆ 英ちゃん
    英ちゃんのこと、はなぶさちゃんと呼ぼうかしら(笑)



    ◆ サンフランシスコ人さん
    知りません(笑)



    ◆ HOTCOOLさん
    めちゃめちゃ繊細な作品が多かったです。
    単眼鏡大活躍(笑)



    ◆ あおたけさん
    島流しに遭っていたとは全然しらなかったのでビックリでしたw
    展覧会場には、それぞれの島にはどんな罪人が流されたのかなどの説明もあって勉強になりましたわw
    舞楽図は観ていて楽しかったですよ〜。ねこちゃんも可愛いでしょ^^



    ◆ ChatBleuさん
    昔の人の名前の付け方、自由ですよねー。
    私も自由に名前を付けたい!(笑)(笑)
    綱吉の時代に描かれていた作品の数々、本当に保存状態がよいものが多くて驚きでしたよーー^^



    ◆ ニコニコファイトさん
    まさにそれ!
    猫には癒されます^^
    2024年10月09日 10:08
  • リュカ

    ◆ Rchoose19さん
    テレビで取り上げられていたのですね〜
    舞楽図の描き込みは本当に細かくて見惚れますよ。
    お釈迦様の絵も!!
    14日までだから、その前にもう一回行っちゃおうかしらって思ってるくらいw
    遊郭をくぐろうとしている鹿さん、そうか! yamatonosuke さんだったのか!!(笑)(笑)



    ◆ 夏炉冬扇さん
    島流しって廃止されたのは明治になってからでしょうかねえ?
    各島にいろいろな罪人が流されていたのかーって
    展覧会場のパネルをガン見してきました(笑)
    稲根神社に奉納された絵馬は迫力あるお馬さんでしたよー



    ◆ marimoさん
    遊郭の様子のチェックも大事なのですね!ww
    鹿がめっちゃ可愛かった^^



    ◆ kontentenさん
    日曜美術館で取り上げられていたのですね〜^^
    英一蝶は太鼓持ちだったみたいですねw
    ほほー。お偉いさんの彼女に似た絵を!
    後期展示でこの作品が出たら、そういう目線で観てみることにします!!ww
    一蝶の展覧会も良かったですよ。ぜひぜひ^^



    ◆ Boss365さん
    島流しになっても、ちゃんと絵具が送られてくるあたりが
    すごいなーって思いましたよ。ほんと、注文を受けて伸び伸びと描いたような気がします(笑)
    何かのテレビで、島流しにあった武士のことを取り上げていて、
    その人も長生きしたんですよねー。
    一度は許されて江戸に戻ってきたんだったか? でもまた自分から島に移住して生涯を閉じたって話でした。



    ◆ ma2ma2さん
    お、お出かけですか!
    楽しんできて下さい^^
    2024年10月09日 10:16
  • kiyotan

    綱吉時代に島流しに・・気の毒でしたね
    しかしそれをバネにしてか やはり才能なのか
    素晴らしい絵をたくさん残したんですね
    細かい描き方ですね 色彩も綺麗です。
    遊郭の暖簾をくぐろうとしている鹿には笑っちゃいます ユーモラスですね
    リュカさんの解説よくわかります
    山田五郎さんが具合が悪いようですからピンチヒッターとしてどうでしょう笑
    2024年10月09日 10:21
  • YAP

    島流しになっても、絵を描いたり島の住人からの注文も受けたり、島に行かされただけでそこでの日常生活を送られたってことですかね?
    だとしたら、その土地での生活を楽しめる人にとっては大した罰にもならないですね。
    2024年10月09日 10:32
  • まつき

    個人の収蔵で状態良く保存し続けるのは大変そうだー。
    でも貴重な作品、今後も大切にして欲しいわねぇ・・・などと、
    無責任なことを言ってみた(笑)
    屏風、裏の写真NGなのはなんでだろうねぇ(・・?
    どっちもOKで良さげなのに(^^;
    2024年10月09日 11:01
  • ぼんぼちぼちぼち

    楽しく観られて何よりでやす!
    作品が、とてもいい状態で保たれてやすね!
    2024年10月09日 12:32
  • リュカ

    ◆ kiyotanさん
    島流しの生活、絶対バネになっていると思います^^
    ほんっと多彩な絵を描いたんだなーって
    展覧会に来ている作品を観ていて感じました。
    山田五郎さん、具合が悪いのですか!
    今検索してみたらガン!?



    ◆ YAPさん
    当時の離島、作物はあまり育たなくて飢饉にも何度もみまわれていたようなので
    生活自体は苦しかっただろうなとは思います。
    でも一蝶さんはきっと農作物を自分で作ることは出来ないだろうから
    絵を描いて食べ物も得ていたのかしら。



    ◆ まつきさん
    個人蔵っていうだけで、どんな人が持っているのか分からないけど
    これだけ保存状態がいいってことは、すごいお金をかけて管理してるんじゃ無いだろうかって思っちゃった(笑)
    屏風、裏の唐獅子もよかったんですよー。なんで裏は撮影NGだったのかナゾww



    ◆ ぼんぼちさん
    今回の展覧会の作品、保存状態がとても良かったです。
    また近いうちに行ってきます^^
    2024年10月09日 13:29
  • ちぃ

    英一蝶さん、もちろん知らない絵師だよー。
    配流先でも絵が書けて、しかも脂がのった時期になったなんて!
    絵師として恵まれた人だったんだね。
    綱吉の頃はハエを殺したって密告されてばんばん島流しになった冗談みたいな時代だもんねw
    受け入れる島でも重罪人じゃなければ普通に接してたし
    文化人や有名人なら(笑)島の有力者が客人扱いでもてなしたって話をこの前本で読んだのよw
    一蝶さんは雨宿りの絵の子供が柱にぶら下がってるところや
    踊ってる芸妓さん?の布がヒラヒラしてるところが可愛いなーって思ったよ(≧∇≦)
    中でも舞楽図の鼻を覆いながら逃げてる(?)おっちゃんたちが
    ユーモラスですごく好きーwww
    2024年10月09日 14:05
  • 藤並 香衣

    英一蝶、名前は聞いたことがあるような・・・
    程度の感じの認識でした
    三毛猫が丸くなっているのが可愛い
    遊郭の暖簾をくぐろうとする鹿、それは絶対奈良だなぁ(笑)
    2024年10月09日 14:19
  • リュカ

    ◆ ちぃさん
    トーハクなんかでたまに見ていたんだけど、人生とかは全然しらなかったよ〜。
    三宅島に流罪になった人は文化人が多かったみたいなことが
    展覧会のパネルに書いてあった記憶がw
    ちぃさんが読んだ本も面白そうだね^m^
    雨宿りの絵、トーハク所蔵なんだけど、メトロポリタン美術館にも同じ構図のものがあって、こっちのほうがトーハクのモノよりも古いみたい。今回は両方展示されていてどっちも観てきた〜^^
    布ひらひらの踊り、布が地面につかないように踊るみたいで
    実は相当激しい動きなのかもしれない??(笑)
    舞楽図、みんな動きが生き生きしてて良かったよーーー^^
    2024年10月09日 15:14
  • リュカ

    ◆ 藤並 香衣さん
    三毛猫ちゃん、毛がふわふわしてて
    可愛かったですよ〜〜^^
    遊郭の暖簾をくぐろうとしてる鹿ちゃんが描かれている作品
    めっちゃ良かったんですよーww
    画像が出せないのが残念だわ!!!
    2024年10月09日 15:20
  • 拳客の奥様

    ものすご〜く^^ユーモラスに描かれた鹿さんを
    チョッピリ想像しています、可愛いんだろうなぁ
    ☆サントリー 水と生きる☆
    G県の〇田町、30年程前にウィスキー蒸留所を誘致計画
    当時の事は詳しく知らないのだけど‥‥誘致がダメに。
    ジャパンウィスキーが物凄く美味い!って人気が出てる今
    もったいない事だと、思ってるいる私(拳客家から車で20分位)
    優良企業が誘致されれば^ ^地域が潤うのにね
    サントリー美術館の記事だから^ ^思い出したのよ
    2024年10月09日 16:13
  • リュカ

    ◆ 拳客の奥様さん
    鹿さん、まぁ普通の鹿さんなんだけど暖簾に近づいていて
    可愛かったんですよーw
    ウィスキー蒸留所を誘致計画があったのですね。
    ほんと、そのときに誘致していれば……ねえww
    2024年10月09日 17:00
  • kuwachan

    英一蝶(はなぶさいっちょう)さん、初めて聞くお名前です(^^ゞ
    島流しの理由がなんだかな~って感じだけれども
    島流しの生活は絵を描くこともできて意外と自由だったのかしら?
    絵師として脂の乗った時代となったのは、
    誘惑がないから却って絵に集中できたのかもってね。
    2024年10月09日 22:35
  • リュカ

    ◆ kuwachan
    島流しに遭ったあとも、支援してくれる人たちが居たみたいで
    そのおかげで暮らせたんだろうね。
    三宅島も当時は作物がなかなか育たなくて厳しい環境だったみたいだよ。
    島で絵を描くことに集中できたのかもしれないね〜^^
    吉原通いも出来ないもんね。
    2024年10月10日 07:29